鍼治療で白内障が良くなるか?

鍼治療で白内障が良くなるか?

<白内障は加齢による不可逆的な症状>
 白内障は水晶体の不可逆的(元に戻すことができない)な変性で、第一の原因は加齢で誰でも起きる現象です。ですから、高齢になればほぼ全員に起きている現象です。ただ、「かすんで見える」「明るいところにでると眩しくなる」「細かい字がはっきり見えない」などの症状の発現の時期や程度に個人差があり、生涯何ともない人もいらっしゃいます。それは、白内障を悪化させる要因は加齢だけでなく、紫外線暴露や通常ステロイドホルモンといわれるプレドニンなどの薬剤によっても悪化します。また、糖尿病も白内障を進行させる大きな要因であり、加齢の個人差以上に大きな個人差があります。
 ただ、いずれも良くすることができない不可逆的なものでありますから、鍼治療を行っても回復する機序があるとは思えないように見えます。

<見るのは目だけではない>
 私たちが「見る」「見えた」というのは、光が目に入って「水晶体」→「硝子体」→「網膜」→「視神経」→「大脳」にいって初めて「見る」ことができます。よって、この経路の何らかの異常があれば、当然「見えにくく」なりますし、それらの異常が改善されれば「見えやすく」なります。鍼治療によって血行が改善したり、自律神経系が整ったりすることでこれらの経路の異常が改善される可能性は当然あり得ます。

<鍼治療で白内障の諸症状は改善できる>
 事実、杏林堂の白内障の患者さんの治療後の感想には「この部屋はこんなに明るかったの!」「40Wが100Wになった!」「眩しくない!」などとおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。もちろん、数時間だけの一時的な方もいらっしゃいますし、2週間以上続く方もいらっしゃいます。そして継続して治療を行うことで、手術を勧められていた方も生涯手術しないで済んだ方もいらっしゃいます。たぶん加齢による白内障の悪化を鍼治療で軽減することもできたのではないかと推測します。
 よって、鍼治療で白内障という病気は治すことができないけれども、白内障が主たる原因で起きているかすむなどの諸症状は改善することができるし、継続することで進行もある程度抑えることができるのではないかということです。

<鍼治療で眼圧が下がる!>

<鍼治療で眼圧が下がる!>

 目が真っ赤になって痛みがひどいので眼科で眼圧を計ったら60mmHgもあって、緊急手術といわれてのに医師の指示を拒否して当院に来院したSさん、鍼治療後に眼圧を計ったら30mmHgまで下がって目の症状はほぼなくなりました。次の日にも鍼治療をしたら20mmHgまで下がり、さらに三日目にも鍼治療をしたら正常の15mmHgまで下がりました。
 Sさんは薬局を経営している薬剤師さんで医学知識もそれなりにおもちでしたのでなるべく手術を回避したいという気持ちが強かったのと、以前より目の症状を訴えて当院にちょくちょく来院なさっていたので鍼の効果をご存じであったという特殊な事情があったので、毛様充血を起こし眼痛が非常に強くて、失明の危険が非常に高く緊急性があったのにかかわらず鍼治療を選ばれたわけです。当時私としては初めての経験でしたが、1~2時間の猶予はあると判断したことと、徒歩1~2分のところに東京医大があるということで鍼治療を試みたわけですが、治療後目の赤みが取れ、痛みがほとんどなくなったというSさんに私の方がびっくりしました。
 現在では、鍼地用により眼圧が下がるという研究報告はいくつもあり、私自身以後多数例経験しているので鍼治療により眼圧が下がることに自信を持ってます。
 しかし、正常眼圧である低眼圧性の緑内障では眼圧は下がりません。既に正常ですので鍼治療によって惹起される恒常性回復機能(ホメオスターシス)が効かないからです。また眼圧が下がりすぎたら、今度は網膜剥離の可能性が高まり、むしろ失明の危険が増しますので決して良いことではありません。
 低眼圧性の緑内障の鍼治療では高眼圧性の緑内障と同じような治療をするわけですが、眼圧は下がらないまでも、視野欠損が悪化することは少なく、たとえ進行したとしてもかなり遅くできるようです。視野欠損を悪化させないようにするホメオスターシスが効くのではないかと思われます。

灸で嗅覚が回復する

<灸の香りが良いですね!?>
 こうおっしゃったのは、嗅覚消失で来院なされたSさん(70歳)。嗅覚は五感の中で他の感覚に比べて老化による機能減退が比較的少ないので、Sさんも老化による嗅覚消失の可能性は低いと思われました。
 嗅覚を司る神経細胞(嗅細胞)が老化などにより死んでしまったら嗅覚の回復はほぼ不可能ですが、何らかの原因で(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、あるいは脳腫瘍を除くとほとんどは原因不明)嗅細胞、あるいは鼻から嗅神経、そして大脳に至る経路においての機能障害が起きている場合は治すことが可能です。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎は、鼻閉・鼻汁・くしゃみが必発で特定することは難しくありませんが、慢性の副鼻腔炎(蓄膿)は構造的な問題があれば手術の適応かもしれませんし、アレルギー性はアレルゲンの特定と体質改善が重要となり治療に時間がかかる場合が多いと思われます。
 脳腫瘍の場合には数年かけて緩徐進行するので注意深く観察していればわかるし、脳梗塞などの場合には麻痺などの他の症状が必発なので疑いを持つことは容易です。
 当院にいらっしゃる嗅覚消失あるいは減退の方はほとんどそういう兆候が全くなく原因不明な場合がほとんどです。そして多くの方は鍼だけで治るのですが、鍼で治らない場合には灸治療を加えるとほぼ治ります。Sさんも数回鍼治療を試みましたが、治らなかったので灸治療を行って数壮すえた時に「灸の香りが良いですね」とおっしゃって、その時には嗅覚が回復したことが分かってなかったのですが、しばらくして治ったことに気付かれてびっくりしたということです。