臨床ノート

<鍼治療で眼圧が下がる!>

<鍼治療で眼圧が下がる!>

 目が真っ赤になって痛みがひどいので眼科で眼圧を計ったら60mmHgもあって、緊急手術といわれてのに医師の指示を拒否して当院に来院したSさん、鍼治療後に眼圧を計ったら30mmHgまで下がって目の症状はほぼなくなりました。次の日にも鍼治療をしたら20mmHgまで下がり、さらに三日目にも鍼治療をしたら正常の15mmHgまで下がりました。
 Sさんは薬局を経営している薬剤師さんで医学知識もそれなりにおもちでしたのでなるべく手術を回避したいという気持ちが強かったのと、以前より目の症状を訴えて当院にちょくちょく来院なさっていたので鍼の効果をご存じであったという特殊な事情があったので、毛様充血を起こし眼痛が非常に強くて、失明の危険が非常に高く緊急性があったのにかかわらず鍼治療を選ばれたわけです。当時私としては初めての経験でしたが、1~2時間の猶予はあると判断したことと、徒歩1~2分のところに東京医大があるということで鍼治療を試みたわけですが、治療後目の赤みが取れ、痛みがほとんどなくなったというSさんに私の方がびっくりしました。
 現在では、鍼地用により眼圧が下がるという研究報告はいくつもあり、私自身以後多数例経験しているので鍼治療により眼圧が下がることに自信を持ってます。
 しかし、正常眼圧である低眼圧性の緑内障では眼圧は下がりません。既に正常ですので鍼治療によって惹起される恒常性回復機能(ホメオスターシス)が効かないからです。また眼圧が下がりすぎたら、今度は網膜剥離の可能性が高まり、むしろ失明の危険が増しますので決して良いことではありません。
 低眼圧性の緑内障の鍼治療では高眼圧性の緑内障と同じような治療をするわけですが、眼圧は下がらないまでも、視野欠損が悪化することは少なく、たとえ進行したとしてもかなり遅くできるようです。視野欠損を悪化させないようにするホメオスターシスが効くのではないかと思われます。

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