膝関節痛と鍼灸-2
<ロコモーティブ・シンドローム>
通称「ロコモ」とも言いますが、ロコモーティブとは移動するということで、ロコモは移動するのが難しい症状ということです。難しそうですが、実際は腰や膝などの下肢の障害のことで腰や膝が悪ければ移動する(歩く)ことが困難になるという意味です。その中で最も多いのが膝の障害です。基本的には運動不足により下肢の筋力が低下するのが原因です。その他では「フレイル」という病態も関係しています。
<動物性蛋白質の摂取不足によっても筋力低下になる>
「フレイル」とは高齢になることで筋力や精神面が衰える状態のことで、高齢者がかかえる筋力低下による転倒の危険性の増大などの身体的問題のみならず、認知機能障害や鬱病などの精神・心理的問題、独居や経済的困難などの社会的問題までを含む概念、と定義されています。心理的・社会的問題はさておいて筋力低下は運動不足のみならず、動物性蛋白質の摂取不足によってもなります。いうなれば肉・魚・卵・牛乳の類の摂取不足です。昔、出光の土光さんがメザシなどの質素な食事をして元気で長生きなので、高齢になったら質素な食事の方が良いという風潮がありました。実はこれは間違いで、土光さんも自宅ではそうでも会食の機会が多かったと思いますが、その時には肉をふんだんに食べていたそうです。また、動物の肉は「がんをつくる」とも言われ癌になりたくないのなら動物の肉を若いうちからたくさん食べないようにと推奨されているのは事実です。
<高齢になったら肉を食え>
これは最近よく言われる言葉ですが、若いうちから肉食の人の方ががんになりやすいのも事実のようです。しかし動物性たんぱく質を取らないと筋肉や血液の材料が不足して筋力が低下して「フレイル」状態になるのも事実です。ではいくつくらいから意識して肉を取るようにしたら良いのでしょうか?癌になる人が多いのは50代60代です。しかし、がんは食生活が変わったからすぐになるわけではありません。10年20年かけての良くない生活習慣(食事・運動・喫煙・飲酒・心構えなど)の積み重ねで遺伝子に問題が生じて起きる病気です。ですから、50代60代にがんになる人の問題となる生活は30代40代の生活なのです。よって、50歳になったらどしどし肉を食べろという研究もありますが、実際に筋力低下を実感するのは60代のようですので60代になったら意識的に肉(魚・卵・牛乳も含む)を多くとったらよいと思います。また、同じ肉食でも牛や豚の肉はがんをつくりやすく、魚や鳥の肉はがんをつくることが少ないので若いときは牛や豚は少なくして鳥や魚と牛乳・卵を多く食べるのも一つの方法です。 つづく
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