膝関節痛と鍼灸
<膝関節痛は鍼灸の患者さんで一番多い>
鍼灸院に新規に来院する患者さんのトップは腰痛です。次が頸・肩こりで膝関節痛は三番目くらいになります。しかし、腰痛はもちろん病態により変わりますが通常‘ギックリ腰’と言われる急性腰痛は場合によっては1回で治り、平均でも3回くらいで治るのが普通ですし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などすべての腰痛を含めても平均5・6回で治ります。肩こりは基本的には一回で治ります(楽になる)が、デスクワークやコンピューターを使っての仕事ではストレスの影響もあって1週間たつとまたコリが出てきて、予防の体操法や職場の環境(机と椅子、ディスプレイとキーボード)を整えることでもかなり改善することはできますが基本的には仕事をやめない限り決して治らないものです。ですから、コリがたまると来院するという方が多いのです。
一方、膝関節痛は運動不足(筋力低下)・肥満・関節の変形などがベースとなっていて、鍼灸治療をして楽になっても、短期間では治らないものですし、週一回の治療では治りにくく(肩こりほどは一回の治療での改善度は低いので)、週2~3回の治療が望ましいことがあって今来院している患者さんの中では最も多いという結果になります。
<年配の女性に最も多いのは膝痛>
膝痛のベースに運動不足(筋力低下)がありますが、膝が痛いために歩くのもつらく、階段昇降は大変で、その上に膝周りの筋肉、特に大腿四頭筋を鍛える体操(スクワット)などはもってのほかということで、ますます運動不足による筋力低下に拍車がかかります。
高齢の女性がクラス会など同年配の人と会食をしたり、旅行に行くと膝が悪い人が多いのにびっくりされるようです。
女性はもともと運動嫌いの方が多く、筋力が不足している人が多いのですが、今までなんともなかったことから、運動の重要性を言っても真剣にやろうとしない人が大半なのが原因かと思います。
<膝の痛みは車椅子、寝たきりになりやすい>
そして、膝痛は直ちに命に係わる病気ではないので、運動の実行を後回しにする人が多く、そのためどんどん筋力が低下して歩くことさえ困難になり、そこで初めて後悔して頑張っても、もう時すでに遅しで、オリンピック選手になるための努力くらいをしなければ回復しないレベルになって、ほとんどの人は車椅子、寝たきりの状態に一直線でなってしまいます。女性の方が「平均寿命-健康寿命」の何らかの障害を抱えて自立できない期間が男性よりも遙かに長い原因がここにあるのではないかと思います。 つづく
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