神経痛私考11(浅い鍼でも効く根拠)

神経痛私考11(浅い鍼でも効く根拠)

<直接障害のある筋肉に刺さないと緊張は取れないのか>
 エコーといわれるUS(超音波)を使った診断技術が進歩して、鍼の刺入と筋肉の動きが患者さんを傷つけずに目で見えるようになりました。筋肉が鍼の刺入によって単収縮(筋肉がぴくっと動くこと)が起きて、緊張が取れる状況を見ることができます。と同時に患者さんも楽になる(筋肉の緊張が取れて圧迫もとれ痛みが軽減する)ことが分かりました。実際の臨床では鍼が渋った時に雀啄或いは回旋などの手技を鍼に加えると渋りが消えて鍼に加わっていた力が抜けて渋りがなくなり抵抗感なく鍼が動くようになります。そうなると痛みが軽減し、動きもスムースになり、患者さんはとても満足する状況になります。
 しかし、『代替医療のトリック』(サイモン・シン、アーネスト・エルンスト共著)に引用されたドイツと米国の大規模な鍼の臨床実験で通常の鍼(1cmツボに刺す)と偽の鍼(浅い鍼(2~3mm)でツボは外す)で差がなかったことがありました。

<代替医療のトリックのマヤカシ>
 代替医療のトリックでは、ドイツと米国の大規模な鍼の臨床実験で通常の鍼と偽の鍼で差がなかったことを意図的に誤用して「鍼治療は効かない」という結論を導いたわけですが、このとき対象となった頭痛、偏頭痛、腰痛、膝痛のほとんどで正規の西洋医学治療よりも鍼の治療の方が通常の鍼も偽の鍼も共に有効性が優れていたという事実を全く隠していました。確かに通常の治療と偽の治療を比較して差がなければ「効かない」という結論が導かれます。しかし、西洋医学の正規医療と売薬などのセルフケアなどに比較して通常も偽の鍼も共に有効だったので「効かない」という結論は間違っています。なお、この大規模実験では西洋医学に比較して良かったのでは「有効性(よく効く)」だけでなく、「安全性」と「経済性」の観点からも有意に優れていたので、上記の4つの疾患には鍼治療を優先すべきという結論になってます。

<浅い鍼も通常の鍼も同じように優れていた>
 このような結論にするのが妥当でした。鍼治療は被験者(患者さん)も検者(治療者)も今行っている治療が通常なのか、偽なのかをわからないようにすること(二重盲検法)は非常に難しいので浅い鍼でツボを外すことで偽の鍼治療ということにしたのです。
 ここにいくつかの大きな問題がありますが、詳細は「代替医療のトリックに反論する」というテーマ、機会を見てHPにアップしたいと思います。
 大きな問題点を簡単に指摘しますと、ここでの通常の深い鍼と称している鍼がたったの1cmの深さの鍼なので腰や頸などへの刺入では目標の筋肉までは到達しない場合が多いと思われ、考え方によっては同じように浅い鍼ということになります。
 また、ツボを外すといっても中国鍼灸式ですから、日本のように指先でツボを探すということは一切しませんので、日本から見れば本当にツボにさしているのか怪しいということになります。ですから通常の鍼もツボを外している可能性が高いのです。 つづく

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