<鍼治療で視力が回復するか?>

<鍼治療で視力が回復するか?>

 

 「視力回復」を謳う施設が幾つかあり、「たちまち治る」とか「みるみる治る」というような宣伝文句が並び、施設名も「視力回復・・」という名称を使っているところが多いようです。ところで鍼灸院においても視力回復を謳っているところは少なくありません。確かに、鍼治療により「白内障」の項で述べたように視力は一時的に回復するのは間違いありません。しかし、一度或いは数回の治療で治療をやめても視力は回復する、すなわち「治る」のでありましょうか?

 

<視力回復してCAに多数合格させた>

 当院では、以前キャビンアテンダント(CA:旧スチワーデス)の養成施設と提携して視力が足りない(CAの入社には裸眼で視力0.1以上が要求されることが多い)学生の視力回復の治療を行っていて、ほぼ全員合格させることができた。「ほぼ」というのは来院者で不合格者もいたが、視力ではなく英語力などの他の要因で不合格になった可能性が高いので、視力に限ってはほぼ100%合格したものと考えているからであります。学生諸君は0.03~0.07程度の視力者が多かったのですが、鍼治療により0.3程度まで回復して合格したということであります。ですから、数日は視力が回復していたことになります。それどころか3年後に一度入った会社を辞めてほかの航空会社を受験して合格した者もいます。

 

<仮性近視と軸性近視>

 鍼治療による視力回復の臨床研究も数多くあり、いずれも視力回復ができていることを示唆していますが、すべての論文でも球面屈折度は回復しないことが結論付けられてます。

 どういうことかというと、例えば近視には「仮性近視」「軸性近視」があって、「仮性近視」は単に水晶体を膨らませる(近くのものを見る)毛様筋の筋疲労(近くのものを見るときには毛様筋がぐっと収縮して水晶体を膨らませるが、長い時間だと筋疲労を起こして充分膨らませることができなくなるため焦点が合わなくなる)なので鍼治療により疲労回復すれば直ちに治るというものです。しかし、この状態が長くなると筋疲労が常態化してしまい、眼球の形状を変えて調節するようになります。充分に水晶体を膨らませなくなった状態で焦点を合わせるためには、眼球は前後に長くなるように軸をずらして調整するようになります。このようになった近視を軸性近視といいます。

 

<鍼治療で軸性近視が治るか?>

 上記に書いたように鍼治療では球面屈折度は回復しないということで、軸性近視の軸の変化は改善しないということです。しかし、視力回復における「治る」ということは視力が改善して、かつその改善状態が持続することを意味しています。だから、球面屈折度が改善しなくても「治る」ことはありえますが、西洋医学は主観的な改善は認めなく客観的な指標のみで判断することが多いので「鍼治療では軸性近視は治らない」という医師も多いのも事実です。 つづく

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