花材:エリンジューム・桜・スナップ・フリージア・トルコキキョウ・ドラセナ・レモンリーフ
今週は「エリンジューム」です。学名Eryngiumといい、セリ科ヒゴタイサイコ(エリンジューム)属の常緑多年(宿根)草です。ギザギザした葉やトゲトゲしたその見た目からアザミかな?と思いましたが、アザミはキク科なので全く違う種類のものでした。ただ、見た目が似ていると感じたのは私だけではなかったようで、和名では「マツカサアザミ(松笠薊)」という名が付いています。アザミのようなトゲがあり、花がマツカサのようだからというのが理由です。
茎の先端にあるマツカサのような球状の部分が小さい花の集まりで、それを囲むように広がる総苞(そうほう)と呼ばれるトゲトゲした葉っぱがエリンジュームの特徴です。世界中に約250種が分布し、花色は青・紫・白などがあり、茎や総苞も同じ色に色づきます。総苞の形は品種によって違い、幅が細いものや太いものなど様々です。中でも私たちがよく目にするのはヨーロッパ南東部から中央アジア原産の「エリンジューム・プラナム(E. planum)」とその交配種だそうです。今回杏林堂にいただいたのもプラナム種の園芸品種と思われます。
エリンジュームの仲間には鑑賞用だけでなくハーブやスパイス、薬に利用されるものもあるそうです。また、近頃スーパーで当たり前に見かけるようになった”エリンギ”は、特定のエリンジュームの根に寄生して生えるキノコなのでこの名前が付けられているのだとか。
寒さに強い宿根草なので、冬には地上部の葉が枯れますが、春になると新芽が出てきます。本来の寿命は長く大きな株に育つそうですが、高温多湿には弱いため平地や暖地では夏越しが難しく、多くは一年もしくは二年草扱いされています。日本の夏は・・・、人間だって『今年の夏を無事に越せるかしら』って近年ますます不安なくらいですから、エリンジュームには越せません。ただ、切り花の場合、放っておくと自然にドライフラワーになるくらいなので、花持ちが良くてお得です。
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