不妊症と鍼灸治療-4(鍼灸をすると自律神経が整う)

不妊症と鍼灸治療-4(鍼灸をすると自律神経が整う)

<自律神経系の働き>
 自律神経系は大きく交感神経系と副交感神経系がありますが、身体を健康に保つために欠かせない神経系です。人間は何かの原因で均衡が外れて異常事態になった場合に、元に戻そうという復元機能があり、これを恒常性維持機能(ホメオスターシス)といいます。 自律神経系は内分泌系と並んでこの恒常性維持機能の主役でありますと同時に内分泌系も働かせる働きもありますので、その親分ともいえます。
自律神経系は主に交感神経と副交感神経がありますが、以前は交感神経系が緊張すると副交感神経系は弛緩するというようにシーソーみたいにいわれていました。しかし、交感神経と副交感神経は互いに関係し合ってはいるけれども、独立した系でもあることがわかってきました。ですから交感神経だけが異常に緊張したり、逆に副交感神経だけが異常に緊張するというようなことが起きるということです。

<鍼と灸の自律神経への関わり>
 鍼灸と自律神経の研究は非常に多くの研究成果があります。その中で筑波技術大学元学長の西条一止先生らの研究では、鍼をしてそのまましばらく置いておく(置鍼)と交感神経の過緊張の抑制になること、灸をすると副交感神経の過緊張の抑制になることなどや、浅く刺入した場合と深く刺入したときの違いなども報告されてます。
 昭和大学医学部部長の久光正教授(全日本鍼灸学会会長)の研究室においても、鍼をすることによってホメオスターシスが働き、高いものは低く、低いものは高くなって恒常性を維持するようになると報告されてます。この際には、高くするための特別な方法などは必要なく、鍼をすることによって生体の方が自然に治る(恒常性に向かう)方向になるということです。これは血圧や体温・呼吸などにも同様に言えることだということです。

<部位の違いによる鍼灸の自律神経への作用>
 また、自律神経は視床下部にその中枢がありますが、視床下部に影響を与えるには上脊髄反射という反射を起こさせるのですが、それには手足の経穴に施術するのが良いとされてます。しか交感神経は胸髄、腰髄レベルで分節的に支配しているので背中への施術は分節的に交感神経に作用することができますし、仙髄には分節的に副交感神経が支配してますから腰椎下部、仙骨部への施術は副交感神経に分節的に作用することができます。全身的な反応は手足の経穴に刺鍼することによって得られ、分節的には胸背部から仙骨部にかけての刺鍼によって得られることになります。胸背部の交感神経は骨盤内の臓器以外の肺・心臓・膵臓・胃・腸・肝臓・胆嚢・腎臓などに作用してますので、それぞれの分節によりそれらの内臓に影響を与えることができます。また腰椎下部や仙骨部の副交感神経は骨盤内の生殖器や泌尿器などに作用してますのでそれらへの施術により骨盤内の内臓に影響を与えることができます。
 背部の兪穴(背骨のすぐそばにある経穴)に肺兪・肝兪・胃兪・腎兪など臓腑の名前が付いた経穴があるのは古代の人たちは既にその様なことが分かっていたのだと推測されますし、そのような経穴の多くはその名前が付いた臓腑に作用することもわかっています。
つづく

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