不妊症と鍼灸治療-5(有効なツボとは)

不妊症と鍼灸治療-5(有効なツボとは)

<鍼灸治療は部分的ではなく全身的に行われる根拠>
 鍼灸治療は、手足の要穴(伝統的によく使われる重要な経穴)と腹部や背部にある経穴を使うことが多く、それに障害部位(痛みのある部位)への治療を合わせて行うのが一般的で当院の治療もそうであります。
 手足の要穴への治療は、東洋医学的診断に基づくことが多いのですが、前回述べた上脊髄反射により自律神経系や内分泌系を整える全身的な反応を惹起させる作用があります。
 背部や腹部への治療は前回述べたように分節的な自律神経への作用になり、それぞれの臓腑に対応するような治療になります。

<どこに治療しても有効性は同じではない>
 しかし、前回述べた久光先生の研究にあるようにどのような治療をしてもよほどの異常な治療でなければ生体が恒常性機能を働かせて自然に治るようにするのではありますが、それはどこでも良いというわけではありません。確かにどこに治療しても、特に灸治療は非特異的作用(場所にこだわらずどこでも起きる作用)が強いと言われており、鍼治療でも非特異的に一定の効果がありますが、やはりよく効く場所(特異的作用が強い)とそれほどでもない場所があります。
 一つはいわゆる経穴による違いがあります。東洋医学的診断はその特に効くツボ(経穴)を見つけるのに有効な方法です。それだけでなく、症状により特別に効くといわれるツボが存在します。この東洋医学的診断が適格にできることと、症状により特別に効くツボをたくさん知っている、あるいは経験しているということが鍼灸師の実力ということになります。

<ツボは知識だけでは見つからない>
 鍼灸師の実力の違いは、東洋学的診断がきちっとできること、特異的なツボをたくさん知って経験していることだけではありません。
 ツボは知識だけでは見つからないのです。確かに教科書的には経穴の位置は決まっていてそこを治療点とすればよいのですが、実際には教科書通りの場所にはなく個人により微妙にずれていますし、理論的に良い経穴だと推察しても実際には治療してもほとんど意味のない経穴だったという場合も少なくありません。
 経穴は体に異常があった時の反応が現れる場所と認識されており、全く体に異常・変調がない全く健康な人には経穴は表れないとまで言われてます。確かに経穴は、体の地図上の位置として教科書的に360、あるいはそれ以上定められており、近年WHOにおいて世界的に標準化されました。しかし、それは体に異常ないし変調があった時に経穴として現れるのであってそうでなければ現れない(治療しても効果がない)ということで、その反応が表れやすいポイントが360くらいあるということにほかなりません。
 では、どの様にして実力のある鍼灸師はツボを見つけるのでしょうか? つづく

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