鬱と鍼灸

<鍼灸治療で鬱病が治るか?-2>

<鍼灸治療で鬱病が治るか?-2>

 

<鍼治療により三つの抗不安効果がある>

 鍼治療により、1、刺された部位の筋緊張が取れ、2、交感神経の抑制により全身の筋肉の緊張が和らぎ(1・2によって逆制止理論で心の不安も楽になる)、3、鍼灸師より病態の説明を受けることにより、病気(死)への不安が解消されるという三つの効果が得られることにより、精神的にかなり楽になります。抗不安剤(マイナートランキライザー)や向精神薬(メージャートランキライザー)でも精神的な不安や刺激に対する感受性が抑制されますが、抗不安剤や向精神薬などの精神安定剤はかなりの副作用があります。

 

<精神安定剤の副作用>

 精神安定剤は脳に余計な化学物質が入らないようにしている脳の関門(BBB)をすり抜けて脳の中に入っていき下記の様々な副作用を呈します。

 ① 自律N症状:口渇、便秘、頻脈、血圧低下、鼻閉、流涙、倦怠、尿閉、起立性低血圧等

 ② 椎体外路症状(パーキンソンニスム):手足の振戦、筋強直、仮面様顔貌等

 ③ 中枢N抑制症状:睡気、脱力感、自発性低下

 ④ 肝障害:肝機能障害、細胆管性肝炎、黄疸、肝実質障害

 ⑤ 心電図異常:T波の異常、STの下降、PQ時間延長、頻脈、期外収縮、心ブロック等

  ⑥ 内分泌症状:乳汁分泌、食欲亢進、体重増加、肥満、無月経等

 ⑦ 皮膚症状:発疹、アレルギー性皮膚炎、日光過敏症、口内炎、蕁麻疹等

 ⑧ 造血器障害:貧血、血小板減少、顆粒球減少、

 ⑨ その他:痙攣誘発作用、眼障害、興奮、喘息の誘発、不眠等

よって、服用する時にはいつかは止めるつもりで服用して症状が安定したら、少しずつ減量していく(症状が悪化する恐れはあっても)覚悟が必要です。マンネリと服用を続けていくと依存性(薬がないとダメになる)や習慣性(同量だと効かなくなって服用量が増える)という問題もあって副作用が重大な問題となってきます。程度の問題はもちろんありますが、この点は麻薬や覚せい剤と何ら変わりがありません。

 

<鍼治療には副作用がない?!>

 鍼治療にはごく稀に出血したり、刺激過剰による体のだるさなど技術的な問題もありますが、多少の副作用はあります。しかし、薬の副作用とは比較にならないほどの軽微でありますし、熟練者ではその副作用も少なくなります。

 幾つかの治療の有効性を比較判断する場合には有効性のみならず、安全性(副作用)や経済性なども同時に判断材料にしなければなりません。有効性は強いけど副作用も強ければ(病気の原因は排除したけれども、その結果患者さんが廃人になってしまうというようでは)使い物になりませんし、オプジーボのように何千万円もするような薬を乱用すれば患者自身のみならず国の経済が破たんしますので大問題です。

 この点、鍼治療は有効性が多少劣っても、副作用がない分を加味すると非常に高い有用性(有効性―副作用)がありますし、安全性・経済性が非常に優れていますので精神安定剤を使う前にぜひ鍼治療を試していただきたいものです。そのことによって国の財政に貢献できると我々は信じていますが、なかなか大規模な研究することは費用面でできないのが現状です。つづく

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