<鍼灸治療で鬱病が治るか?>
<精神的な病気にも鍼灸は効きます>
鍼灸は腰痛や膝痛、肩こり(頭痛・片頭痛)などの筋骨格系(運動器)疾患に有効なのはよく知られた事実でありますし、ドイツ・米国の政府や国立衛生研究所の大規模な研究においても正規西洋医学に比して「有効性」、「安全性」、「経済性」のいずれにおいても優れていることが実証されています。
また、マッサージや柔道整復(接骨)と併療している治療院も多いのでそのような認識は一層高いと思われます。
よって、内臓疾患や精神的な病気にも鍼灸が効くというと「健康詐欺」「過大広告」みたいに思われる方も多いかと思います。確かに手術が必要な病態の多くと(要手術を言われた患者さんでも鍼灸治療で治ることは沢山ありますし、当院でも多数経験していますが、鍼灸治療では治らない病態ももちろんあります)、入院が必要な重篤な精神疾患は鍼灸治療では無理だと思います。
<精神的な病気に鍼灸がなぜ効くのか?>
「PNI(精神神経免疫学)と鍼灸」のところでもお書きしましたが、心理学での「逆制止理論」の「心の緊張と身体の弛緩は逆相関する」を応用するということです。すなわち「逆制止理論」では心の緊張(ストレス過多)によって全身の筋肉が緊張する(凝る)ということで、呼吸法や筋弛緩の体操などで筋肉の緊張を和らげる方法をとって、それによって心の緊張も和らげるという治療法をとります。筋肉の緊張を取るならば鍼灸治療はもってこいですし、さまざまなエビデンスがあります。また、自律神経の交感神経が緊張すると筋肉の緊張を強くしますが、鍼治療をすることによってこの交感神経の緊張を和らげることも科学的に分かっています。ですから緊張している筋肉全てに鍼をしなくても一本或いは数本の鍼で全身の筋肉の緊張が和らぐこともわかっています。
<治療後身体だけでなく気分も軽くなる>
当院の患者さんも治療後「身体が軽くなった」だけでなく、「気分がすっきりした」とか「モヤモヤガ吹っ飛んだ」などと精神的な緊張が取れたようなことをおっしゃる方が非常に多いのです。
実際にはそれだけでなく、患者さんは今までにない症状が表れた時には「もしかして癌や心臓・脳などの死に至る病気ではないか?」という不安を抱えて治療にいらっしゃるケースが非常に多いのです。その不安が心の緊張となり、身体の緊張や自律神経の失調を呼んで益々病状が悪化する(様な気になる)ことも多々あります
。
そこで、鍼灸師が適格に病態を判断することができて、患者さんにキチンと説明できれば、この不安は払拭されすっかり元気になります。手前味噌ですが、私は診断機器や血液検査なしでの鑑別診断を専門(教員養成施設で教えている)としているので、それを知っている患者さんは医者に行く前に私の判断を仰ぐこともしばしばあります。つづく
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