<鍼灸治療で鬱病が治るか?-3>

<鍼灸治療で鬱病が治るか?-3>

 

<鍼灸治療による心理効果は沢山ある>

 その2で述べましたように鍼治療により、1、刺された部位の筋緊張が取れ、2、交感神経の抑制により全身の筋肉の緊張が和らぎ(1・2によって逆制止理論で心の不安も楽になる)、3、鍼灸師より病態の説明を受けることにより、病気(死)への不安が解消されるという三つの効果が得られます。実はそれだけでなく、鍼灸治療により他の心理効果も多々あります。

 

<人は悩みや苦痛を理解してもらうだけで良くなる>

その一つは、「人は自分以外の人に自分の悩みや苦痛を理解してもらうだけでその苦痛が半減する」のです。洋の東西に関わらず、臨床の現場では問診あるいは医療面接の場において患者さんの訴えを傾聴的な態度で聞くことにより、患者さんはその苦痛を和らげることができるのです。

 

<治療を受けたと感じるだけで良くなる>

 二つ目に、本当には効くか効かないかを問わず「治療を受けた」と患者さんが実感するだけで苦痛は半減します。治療(薬も)の有効性を検定する時に、その治療をした群と全く治療を受けなかった群を比較して治療をした群の方が有意に有効性が高かったとしても、その治療が有効だとは言えないのです。それは、患者さんの方で治療を受けたことによって満足感が生まれ効果があったと錯覚してしまうのと、治療を受けなかった群の方は治療をしてもらえないという不満がでて、マイナスに働くからです。これを臨床効果とも言います。だから実際に治療の有効性を検定する場合には比較するには無治療ではなく、全く有効性がないと思われる偽治療(プラセーボ)をする群を対照にして比較するのです。

 

<触れられるだけで良くなる>

 まだあります。三つ目は触れる(触れられる)ということです。鍼灸治療はその性質上治療面において患者さんに触れることが多いし、診断面においても脈を診たり、お腹や手足、あるいは痛いところをよく触診します。人は触れられるだけで心理的に楽になることが多く、特に悪いところを触れられたり、診断のために触れられるとそれだけでかなり楽になります。愛の告白もそうですし、リストラの時も肩や腕を取りながら話すと受け入れられることが多いと言います。スキンシップが思う以上に効果的ということです。

 

<臨床効果はバカにならない>

 科学ジャーナリストのサイモン・シン共著の『代替医療のトリック』が数年前に刊行されましたが、その中で鍼治療はいの一番に効かない治療と断定されました。それは、詳細は省きますが、ドイツと米国での大規模研究において真の鍼治療(深い)と偽の鍼治療(浅い)を比較すると有効性にほとんど差が無いので、鍼治療は効かないと断定したのです。しかし、大事なことが抜けていました(あるいは意図的に)。真の鍼治療も偽の鍼治療もともに西洋医学の最新治療よりも有効性・安全性・経済性のすべてで有効だった事実です。要するに鍼を深く刺入しても浅く刺入してもほぼ同等の効果が得られた、ということなのです。結論を言えば、鍼治療は非常に臨床効果が高い医療であるということです。つづく

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