脳腫瘍の初期・中期では頭痛はない!!?―4
<脳腫瘍の初めての症状は味覚異常であった>
当院の患者さんの奥様が脳腫瘍であることが分かって、その対応について助言を求められました。奥様の初発症状はなんと味覚鈍麻だったのです。料理をしていて塩加減が分からなくなったらしく病院でも原因不明で念のために脳のMRIを撮ったらかなり大きな腫瘍が見つかったというわけです。高齢者は脳が委縮して脳と頭蓋骨の間に空間ができるためにかなり大きくなっても症状が出ないことが多く、実際にかなり大きくなっていたようです。70歳を超えていらっしゃりますが、女性の平均余命からするあと20年近くあるわけですからほっとくわけにはいきません。後遺症が残るか否かなどの見解は当事者しかわかりませんので専門医に委ねるしかありませんからそれ以上のことは残念ながら申し上げられません。
<鍼治療で治らない眩暈から脳腫瘍が分かった>
また、26歳の教え子から連絡があって当人が脳腫瘍であることを打ち明けられました。初発の症状は眩暈で、鍼灸治療をしても改善しないのと、後頭部の頭痛もあることがあったので念のためMRIを撮ったら腫瘍が見つかり、それも脳幹の方まで行ってるということです。脳幹というのは人の呼吸・脈拍・血圧など生命に重要な部分を主っているところですから、ここが傷つくと即死ということも考えられます。よって、早く治療をすべきですが、主治医は後遺症が残る恐れがあるので40歳くらいになったら手術しましょうということだったのです。そこでセカンドオピニオンを求められたのですが、私にできることは、脳神経外科の医師を紹介することくらいしかできません。
本来ならば後になればなるほど危険が増すので早急に手術すべきと考えますし、知り合いの外科医に相談しても当然同じ考えでした。もちろん他の専門医の意見を聞くべきと考えますが、何故主治医は40歳まで伸ばそうとしたのでしょうか?すでに脳腫瘍が原因と思われる症状が出ているのに関わらず、です。
<鍼で治らない眩暈は耳や脳の病気を考えろ>
眩暈は眩暈のところで書きましたが、頚・肩こりが原因なことが非常に多く、鍼で治るのがほとんどです。よって、鍼で治らないような眩暈は内耳や脳に原因がある事が多いのできちんと精査した方が良いと思われますが、そのようにしたところ見つかったというわけです。
<脳腫瘍で起きる頭痛は部分的に起きないで全体に痛い>
いずれにしても、この二例の初発症状としては味覚鈍麻と眩暈であって、頭痛ではありません。また、26歳の後頭部の頭痛も脳腫瘍が原因とは考えにくいのです。なぜならば、脳腫瘍の頭痛(というより頭蓋内の異常が原因で起きる頭痛はすべて)特定の部位に現れるのではなく、あるときは全体に割れるように、ある時はなんとなく頭部全体に違和感がある、というように頭部全体に現れるので、部分的に表れる場合では頭蓋骨の外に原因があることがほとんどで、たぶん頚の凝りが原因できた頭痛と考える方が自然だからです。
つづく
コメント