<鍼灸治療で鬱病が治るか?―4>
<鍼治療は非常に臨床効果が高い>
鍼治療は非常に臨床効果が高い治療であることを欧米の研究で実証されたことをその3で述べました。欧米では灸治療がほとんど行われてないので灸治療の研究はほとんどありませんが、臨床効果が高いという面では鍼治療とあまり変わりはないのではないかと思われます。いずれにしろ、鍼灸治療のシステム、傾聴的態度の問診はもちろん、特に体にあるいは悪いところに触れて、かつ刺鍼あるいは施灸することと、全身の調整をして自律神経系を整えるなどを行う治療システムは患者さんの心身両面に非常によく作用するということのようです。
今の西洋医学のお医者さんは客観主義ゆえにデータ中心でコンピューターの画面ばかり見て患者さんの悪いところはもちろんのこと顔さえ見ないひどい医師もいるようです。
<医師(鍼灸師)と患者さんの信頼関係が重要>
外科手術において、担当の医師を患者さんが信頼している場合とあまり信頼していない場合では手術結果が違うというエビデンスがあります。手術の際には麻酔がかかっているし、担当医が執刀するとは限りませんので実際には信頼している医師が執刀者でない場合も多々あるわけですが、そうであっても担当医を信頼している場合には結果が良いとのことです。
医師(鍼灸師)との信頼関係は、顔を見てよく話し合ってこそ生まれるものなので顔を見ないで一方的に画面を見て話す医師との信頼関係はたぶん生まれないと思います。そして、悪いとこに手を当てる、スキンシップの重要性も前回述べました。
脱感作療法というアトピーなどのアレルギー疾患を治す治療があります。私が昔病院の中に鍼灸治療室をつくっていた時、その病院に全国から患者さんが集まる有名なアトピー専門のお医者さんがいらっしゃいました。全国から重症の患者さんが集まるのに関わらず、そして行う治療は全く特別なことのない脱感作療法です。しかし、その治癒率は非常に高くまさに名医でありました。見学に行くと、この先生は子供と話すときは膝ついて子供と同じ目の高さで、きちんと丁寧にしてはいけないこと、やった方が良いことを子供に分かるように説明し、親に対しても同様に丁寧に説明していました。ひどいところは紙を渡して、「よく読んで実行しなさい」で終わりですが、そのようなところは治癒率が非常に低いのです。臨床で大事なのは薬や治療法だけではなく、治す心を伝えることだと思います。
つづく
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