膝と鍼灸

膝関節痛と鍼灸-3

膝関節痛と鍼灸-3

<下肢の筋肉、特に大腿四頭筋の筋力低下が問題>
 下肢の筋肉の力、特に大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉群)の筋力低下が膝を痛める原因の第一です。宇宙飛行士が一週間宇宙にいて(重力がないので筋肉を使わない)地球に帰ってくると立つことさえできないほど筋力が衰えるということです。宇宙飛行士の向井さんのお話では今では宇宙にいるときは毎日機械を使って4時間くらい筋力を使うトレーニングをしているそうです。そうすると地球に帰っても大丈夫ということです。
 寝たきりになったり車椅子になりますと立つために必要な筋肉(多くは足の筋肉)を使わないためにどんどん衰え細くなっていきます。

<若者でも運動しないと立てなくなる>
 最近のニュースで20代の女性にロコモが増えているというのがありました。私が教鞭をとっている東京衛生学園で学生を使って(多くは20代)3週間寝たきりにさせた実験を以前したことがあります。広い体育館にマットを引いて寝たままにさせる生活をさせるのですが、さすがにおしめというわけにはいかずトイレには立って行ったので完全に寝たきりではありませんでした。しかし、それでも3週間で10数%も下肢の筋肉周りが減って細くなり、それ以上に筋力が低下しました。もちろん若いので、その後トレーニングして筋力は回復しましたが、20代の若さでも筋肉を使わなければどんどん衰えるということです。

<年寄りの骨折は致命傷>
 年齢がいってから骨折するとなかなか骨がつかないので寝たきり生活が長くなります。よって、骨がついたからリハビリをしましょう、と言われても宇宙飛行士のように立つことさえできない状況になります。宇宙飛行士は訓練もしていて若いですから多少のリハビリで日常生活と送れるようになりますが、80も半ばを過ぎると立つことができるまでも時間がかかります。リハビリは痛いし苦痛なのでいい加減になるし、そうなると筋力の回復も大幅に遅れます。結局寝たきりのままになり、気力も萎え、意識レベルも落ちて認知症が進行していきます。ですから年寄りの骨折は致命傷ということになります。私の父も足を骨折して寝たきりになり認知症も進行してそのまま半年後に老衰で亡くなりました。

<骨折しないようにすることが重要>
 高齢で骨折するとその回復は大変なので、骨折しないようにしなければなりません。骨を強くするにはビタミンDやカルシュームを豊富に含む食品をとることが重要ですが、偏った食事やカップ麺だけの食事ならともかく通常の食事を摂っていればそれらが不足することはめったにありませんのでサプリメントなどは必要ありません。それよりも骨を強くするには筋肉を強くすることが重要なのです。つづく

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