2003年に千葉の幕張メッセで行われた第53回全日本鍼灸学会のシンポジウムで、初めて「がん」が取り扱われ、小川と金井実行委員長が司会およびコーディネーターを務めました。この時のシンポジストのお一人は、当時、浜松医科大学保健管理センター勤務の永田勝太郎氏で、治療に鍼灸や漢方を積極的に用いている心療内科医でした。彼から以下のような報告がありました。
『全身にがん転移した70代後半の女性が、息子さんに連れられて行った北海道の雄大な景色を見て感動し、もっと綺麗な景色が見たい!という衝動に駆られ、それまで命を諦めていたものが生きる意味を見つけ、その旅から以降、みるみる元気になって外国旅行にも行くようになった。そして、全身に転移していたがんがすっかり消えてしまい90歳近くまで元気に生きられ天寿を全うした』 という症例をはじめ、その他の幾つかの症例を挙げられ、それらの症例に対して免疫力の指標となる物質の増減など基礎研究を重ねられたそうです。そして、
『ただ漫然と生きるのではなく、これら症例にある方達のように、生きる意味や価値を見いだし、生きがいを持って生きることで免疫力が向上することを医学的な見地からも証明できた』と、結んでおられました。
永田氏は生きる意味や価値を見いだし生きることを“実存性”と言っておられ、『実存性だけでなく、そこに漢方薬と鍼灸治療を併療するとより免疫力が高まる』ということも報告されていました。
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