花材:ディサ・アザミ・タマシダ・トルコキキョウ・ドラセナコンパクタ・レザーファン
今週は「ディサ」をいただきました。ディサはアフリカ南部、主に南アフリカを中心とした地域の湿地に自生する地生し、熱帯アフリカやマダガスカルにおよそ130種が分布するランの仲間です。学名はそのままDisaといい、ラン科ディサ属に属します。ディサという名は南アフリカのケープ地方での呼び名で、ラテン語で「豊富な」という意味の言葉が由来であるとか、他にも様々な説があるそうです。
現在、お店で販売されているディサの多くは、南アフリカのケープ地方にある標高1086mのテーブルマウンテンに自生する原種のひとつ「ディサ・ユニフロ-ラ(Disa uniflora)」を基に改良された園芸品種だそうです。原種の花色はふつう朱色ですが、ピンクや黄色の花を咲かせるものもあり、園芸品種ではそれ以外にもオレンジ・紫・白など鮮やかな色彩のものが多く揃っています。ただし、花に見える部分は正確には萼(ガク)が大きく発達したものです。大きな3枚の萼で構成され、中でも特に上向きに付く1枚の萼は頭巾状になります。本来の花びらは萼の内側にありますが、小さくて目立ちません。このような花が、太くまっすぐ伸びた30㎝~50㎝の花茎の先に付きます。原種の種小名であるユニフロ-ラは「1つの花」という意味で、名前を付けるときに標本となったディサの花が1輪だったからだそうですが、今回いただいたディサにはたくさんの花が付いていますね。
ちなみに、ディサは「幻の洋蘭」と呼ばれています。本来、ディサは標高の高い湿地に生息しているので、寒すぎず暑すぎない冷涼な気候を好み、新鮮な水を必要とします。ランは温室でぬくぬくと育てているイメージがあり、さぞ暑いのは得意だろうと思いきや、日本の夏では暑すぎて、夏越えが難しいそうです。
ディサをはじめとする熱帯の山岳地帯に自生するランは、昼間の25℃ぐらいの気温には耐えられるのですが、夜間の高温を嫌うそうで、夜は15℃以下の低温が必要だと言われています。このような性質を持つランをクールオーキッドと呼ぶそうです。クールオーキッドは関東以西では夏越しが難しいため、本州ではほとんど目にすることがないそうです。かろうじて北海道なら栽培できそうですが、いずれにしろ上級者向けで、栽培がきわめて難しいランなので「幻の洋蘭」と呼ばれ、日本での生産量は非常に限られているそうです。なので、海外から輸入されるディサの切り花は、珍しい花材として人気があるそうです。
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