花材:セダム・ケイトウ・マルーゴールド・スプレーマム・スターチス・トルコキキョウ・ピット・ゴット
今週のお花、注目は「セダム」です。まるでブロッコリーのようなお花です。卵型の葉っぱは粉が吹いたように緑白色で肉厚です。サボテンやアロエ、かつて流行った“金のなる木”と同じく多肉植物のひとつです。
姿形から今回頂いたセダムは、多分「オランダセダム(別名:ベンケイソウ)」と呼ばれる品種で、学名Hylotelephium、ベンケイソウ科ヒロテレフィウム(ムラサキベンケイソウ)属のひとつではないかと思います。
属名の「ヒロテレフィウム(Hylotelephium)」は、ギリシャ語の「hyle(森)」と「telephion(多肉植物、または多汁植物)」を意味する言葉が由来で、他のベンケイソウ科の植物と違い森の中でも生えることから付けられたと言われています。また、ギリシャ語の「hyle(森)」+「tele(遠い)」+「philos(愛)」の合成語で、遠く別れた恋人が戻るようにヒロテレフィウム属の花を呪い(まじない)に使ったことに由来するという説もあるようです。
和名の「ベンケイソウ(弁慶草)」は、とにかく丈夫で、肉厚の葉っぱが乾燥して萎んでしまっても、炎天下に曝されても新しい根が出てくることから、その強さを弁慶になぞらえて名付けられたとされています。
今回「セダム」という名でこのお花をいただきましたが、調べていくと「セダム」と呼ばれる花には色んな姿形のものがあります。同じベンケイソウ科にはセダム(マンネングサ)属があり、セダム属の仲間は主に北半球の温帯・熱帯にあたる地域を中心に、北はグリーンランドから南はアフリカまで、オセアニアを除くほぼ全世界に400種類以上が分布しています。その種類の多さから窺えるように、その姿は非常にバラエティーに富んでいて、とても同じ仲間とは思えないようなものもあります。ですから、同属全体を指す総称として「セダム」という呼び名が使われていて、ある特定の姿形のものだけを呼ぶ名前ではないのだそうです。しかも、ベンケイソウの仲間(Hylotelephium)は、以前セダム(マンネングサ)属のひとつに分類されていたのですが、研究が進み現在ではヒロテレフィウム属として分類されるようになりました。ですから、正確にはセダム属ですらないのですが、昔から使われていたセダムがこの花の通り名になってしまっているようです。
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