花材:ピンポンマム・ケイトウ・リンドウ・セダム・丸葉ルスカス・ゴッド
今週は「ピンポンマム」に注目します。ピンポンマムは、学名をChrysanthemum “Ping Pong Mum”といい、キク科キク属の多年草です。属名のChrysanthemumは、ギリシア語の「chrysos(黄金色)」と「anthemon(花)」が語源で、この仲間には黄色い花が多いことから付けられたようです。
ピンポンマムという名前は、花の姿そのままを言い表しています。キクのことを英語では属名そのままにクリサンセマムといい、マムはその略称、つまり「ピンポン玉のようにまん丸な菊」という意味の名前です。
キクそのものは、中国が原産です。中国では古くからキクが栽培され、紀元前の孔子の書にも登場し、また別の書では食用にしたとの記載があるそうです。日本には、奈良時代に渡来したと言われています。渡来後すぐから薬草や観賞用のキク栽培が始まり、江戸の頃には花径20㎝ほどの大輪の菊ができあがっていたといいます。
19世紀後半、鎖国が終わり日本のキクがアメリカやヨーロッパに持ち帰られるようになりました。それを元に品種改良が進み、反対に日本に輸入されたキクを洋ギクと呼んでいます。ピンポンマムも洋ギクの1つで、これはオランダで開発された品種だと言われています。
また、よくいただくスプレー菊は、アメリカで作られた園芸品種だそうです。「スプレー(Spray)」=「先が分かれた小枝」という意味で、通常のキクが1本の太い茎に1つの花を咲かせるのに対して、スプレー菊は1つの茎がいくつにも分かれて、それぞれの先端に花を咲かせます。キクだけでなく、スプレーカーネーションとかスプレーバラとか呼ばれるのは、すべて茎が枝分かれして小ぶりだけどたくさんの花がつくタイプのものを言います。
このように、キクは色んな品種改良が加えられており、色も形も様々あります。以前はキクというと仏花というイメージしかなく、仏壇・お墓・葬儀に飾られるだけで、とても花束やブーケに使う雰囲気ではありませんでした。ですが、今は華やかでゴージャスなものもあれば、可憐で可愛らしいものもあり、ピンポンマムも白・赤・ピンク・黄色・黄緑など色んな色がありますし、淡いラズベリーの花芯部から花弁の先にローズピンクにグラデーションしているようなものまであって、ブーケやアレンジに使うととってもキュートになります。
ちなみに、丸いキクは「ピンポンマム」「ポンポンマム」どちらの呼ばれ方もされます。同じだろうと思っていましたが、厳密にいうとピンポンマムはピンポン玉のようにほぼ完全な球形に咲くキクで、ポンポンマムはチアリーダーが持つポンポン(玉房)と同じく、半球から球形に近い咲き方のキクのことを言うのだそうです。ということは・・・あれっ? 今週のお花はポンポンマムだったのかしら?
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