今週のお花(葉牡丹・千両・松・ピンポンマム・スプレーマム・スターチス・ドラセナ)

花材:葉牡丹・千両・松・ピンポンマム・スプレーマム・スターチス・ドラセナ

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今週は「ハボタン」に注目します。子供の頃通っていた幼稚園の花壇に、紫色と緑色の2種類のハボタンが植えてありました。子供の概念からすると、花は明るいきれいな色という思いがあったのでしょう。母は『きれいなのに』と言っていましたが、子供の私には白菜みたいな緑色やくすんだ紫色の顔よりも大きいハボタンはとても花には思えず、怖くて見ると逃げていました。大人になってからは、さすがに怖いとは思いませんが、やはりきれいとは思えず、好きではありませんでした。最近、品種改良された小さいハボタンが出回るようになって、ようやく可愛いなと思えるようになりました。

ハボタンは学名をBrassica oleracea var. acephalaといい、アブラナ科アブラナ属の一年草(本来は多年草)です。属名のBrassica は古いラテン語でキャベツを意味します。ハボタンには「花キャベツ」という別名もあって、英名では「フラワーキャベッジflowering cabbage」と呼ばれます。

白菜ではなくキャベツでしたが、子供ながら惜しい所を突いていたようです。白菜は学名をBrassica rapa var.pekinensisといい、同じアブラナ科アブラナ属なので当たらずも遠からず、親戚ですね。

以前「菜の花」をご紹介した時にも書きましたが、アブラナ科の多くは共通して成長すると菜の花が咲きます。ハボタンも例外ではなく、暖かくなるころ中央から茎が伸びてきて黄色い菜の花が咲きます。

また、アブラナ科アブラナ属にはブロッコリー・カブ・チンゲン菜・ケールなどよく知られた野菜がたくさんあります。これらをさらに分けると、白菜(Brassica rapa)の仲間はカブ・チンゲンサイ・ノザワナ・コマツナなど、キャベツ(Brassica oleracea)の仲間はブロッコリー・カリフラワー・ケール・メキャベツなどで、ハボタンは後者の兄弟ということになります。

アブラナ科の他の仲間と同様に、ハボタンは原産地の西ヨーロッパでは野菜として食用に栽培されていました。日本には江戸時代に食用として渡来し、当時はオランダ菜と呼ばれていたようで、大和本草には『味は良い』と記されているそうです。その後、今のように葉を観賞するようになり、ハボタンと呼ばれるようになっていったようです。

江戸の頃から日本ではハボタンの品種改良が進みました。最も古くからある系統は、江戸時代から続く葉の丸い“東京丸葉系”です。その後、明治中期に名古屋地方で葉の縁が細かく縮れるのが特徴の“ちりめん(縮緬)系”が作り出され、戦後になると大阪地方で東京丸葉系とりちめん系の交雑種で葉の縁が緩く波打つ“大阪丸葉系”が作り出されました。新しいものでは、1977年にサンゴ系やクジャク系など葉に深い切れ込みが入った“切れ葉系”発表されました。現在は、大きく以上4つの系統に分けられています。

更に、以前は怖いくらいの大株を花壇や大鉢に植えるのが主流でしたが、最近は品種改良によって小型化が進み、小さな鉢に可愛らしく仕立てられたものが主流になっているそうで、世界屈指の多様な品種があるそうです。

 

 DSCN2952こちらはおまけ。

いつもは前の週のお花の中から元気なものだけ小さくまとめなおして飾るのですが、冬休み明けで前のお花がなくて寂しかったので、2つの花器に分けました。

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