花材:ローゼル・デンファレ・レースフラワー・ダイアンサス・ヒペリカム・ユーカリ・ゴッド
ホオズキのような暗赤色の実の付いた同じく暗赤色の枝物、お花屋さんからの花材表には「チーゼル」と書かれていました。ですが、何を探してもいただいた花と同じものが見つかりません。チーゼルという別の花はあったのですが、おかしいなぁと思い「生け花 赤い枝 ホオズキのような実・・・etc.」インターネットで色々検索したところ、やっと見つけました。チーゼルではなくローゼルではないですか。ハイビスカス・ローゼルあるいは通称ベニアオイ(紅葵)と呼ばれるものと判明しました。
ということで、今週は「ローゼル」に注目します。ローゼルは学名をHibiscus sabdariffaといい、アフリカ北西部原産のアオイ科フヨウ(ハイビスカス)属の多年草です。ただし、耐寒性が低く日本では冬越しが難しいため一年草として扱われています。
枝や実は真っ赤ですが、花は同じアオイ科のオクラにそっくりで、真ん中が暗褐色のやさしいクリーム色の花が咲きます。花が咲き終わると萼(がく)と苞(ほう)が厚く肥大します。ホオズキのように実(=種)を包んで膨らんでいるのが萼、それを鷲掴みしたような根元に付くイチゴのヘタのような部分を苞と言い、これらはハーブとして利用されます。萼と苞は多汁質でクエン酸や酒石酸などの植物酸が豊富、ビタミンCも含んでいて、生でも食べられますし、乾燥しても使えます。巷で「ハイビスカス・ティー」と言って飲まれている赤くて酸っぱい飲み物は、皆がよく知るハイビスカスの花が原料ではなく、このローゼルで入れたハーブティーのこと。利尿・疲労回復などの薬効があるそうです。鮮やかな紅色と独特の酸味が特徴で、ハチミツを入れて飲むのがお勧めなんだとか。
また、原産地をはじめ東南アジアやその他の熱帯、亜熱帯地域では、食用として栽培されているそうです。ハーブティー以外にも、酸味と美しい紅色を活かして清涼飲料にしたり、お酒に浸けてローゼル酒にしたり、砂糖と少しの水を加えて煮ると萼の部分がホロホロに溶けて色鮮やかなジャムや料理のソースに、水を多めにしてゼラチンで固めるとフルーツに劣らない爽やかな酸味のゼリーになります。
葉っぱも食べることができ、炒め物やスープに使われます。ミャンマーではローゼルを「チンバウン」と言い、その葉の炒め物(ジョー)は「チンバウンジョー」と呼ばれ、日常的に食べられているそうです。葉っぱも酸っぱいらしく、その酸の強度はレモンの約半分。ですが、火を通して水分を飛ばし、さらに塩を加えると・・・、なんとレモンの1.5倍の酸っぱさにup! 東南アジア特有の酸っぱい料理の元は、ローゼルだったようです。
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