今週のお花(カラー・ダスティーミラー・ネコヤナギ・スプレーマム・カーネーション・ドラセナ)

花材:カラー・ダスティーミラー・ネコヤナギ・スプレーマム・カーネーション・ドラセナ

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 今週は「カラー」です。まっすぐ伸びた水分を多く含む多肉質の太い茎の先に、紙をくるりと巻いたような漏斗状の白い花が特徴的です。その花姿から背筋をスッと伸ばした立ち姿が連想され、それは清楚ですがどこか凛々しい女性のイメージがあります。

カラーは学名をZantedeschia aethiopicaといい、サトイモ科ザンテデスキア(オランダカイウ)属の多年草(球根植物)です。以前はサトイモ科カラー(Calla)属に分類されていたため、その名残で今でも園芸上はカラーと呼ばれています。ただし、北海道などの水辺に自生しているサトイモ科ヒメカイウ属の多年草である「ヒメカイウ(姫海芋)」が学名をCalla palustrisというので、正式に学名でカラーと言った時にはヒメカイウを指します。

カラーという名前は、ギリシャ語の「カロス=美しい」に由来し、修道女の白い襟に似ていることからつけられた英名です。また、属名の「Zantedeschia(ザンテデスキア)」はイタリアの植物学者「ザンテデスキ(Zantedeschi)」の名が由来とされ、種小名の 「aethiopica(エチオピカ)」 は「エチオピアの」という意味で、エチオピアではカラーは国花とされ、リリー・オブ・ザ・ナイルとも呼ばれているそうです。

和名では、属名にもなっている「オランダカイウ(和蘭海芋)」と呼ばれ、これ以外にもカラーの仲間の和名には「モモイロカイウ」「シロホシカイウ」「キバナカイウ」というように“カイウ”という言葉がつきます。カイウは漢字で“海芋”と書き、“海を渡って来たサトイモ”という意味で、江戸時代の終わり頃に国交のあったオランダから伝わったのでオランダカイウと名付けられたと言われています。

ですが、原産はオランダではなく、南アフリカの湿潤地が原産地です。実は、カラーには水のある湿地~山野でよく育つ「湿地性」のものと、冷涼で雨の少ない地域を好む「畑地性」のもの、この2つのタイプがあります。6~8種ほどあるとされる原種のうち1種、エチオピカだけが川や池などの水湿地を好み、アフリカ各地をはじめ世界の温暖な水辺に野生化し群生しているそうです。

今回いただいた湿地性カラーのオランダカイウは、カラーの最も代表的な品種で、皆さんがカラーと言って思い浮かべるのはこの品種でしょう。湿地を好み肥大した地下茎をもちます。花のように見える白い部分は、サトイモ科特有の「ブツエンホウ(仏炎苞)」という葉が変化し色付いたもので、花の本体は真ん中にある直立した黄色い棒状の部分です。これは花軸が多肉化して小花が密生しており、「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれます。このような花は、ミズバショウ(水芭蕉)、ザゼンソウ(座禅草)、アンスリウムなど、サトイモ科に共通して見られます。

オランダカイウは日本に1843年に渡来しました。花茎の長さがおよそ1m、仏炎苞は20cmほどになるカラーの仲間では大型種ですが、栽培されているエチオピカは草丈が低く花がたくさん咲く変種の「チルドシアナ(四季咲きカイウ)Z. aethiopica var.minor」や、これを元に育成された園芸品種が主流になっているようです。

オランダカイウの他は、草丈およそ60cmで葉に白斑が入り白くて基部に赤い斑点のある仏炎苞を持つ「シロホシカイウ(白星海芋)Z. albomaculata」や、草丈およそ90cmで葉に白斑が入り黄色い仏炎苞を持つ「キバナカイウ(黄花海芋)Z. elliottiana」、草丈およそ30cmと矮小で白に近い色からピンク・オレンジ・赤から紅紫色まで様々な色の仏炎苞を持つ「モモイロカイウ(桃色海芋)Z. rehmannii」が代表的なカラーの品種で、いずれも畑地性カラーです。

湿地性カラーのオランダカイウの仏炎苞は多くが白ですが、畑地性カラーのモモイロカイウ、キバナカイウ、シロホシカイウなどは色が豊富で、それらの交配によって多く色や草丈の園芸品種が作り出され、バラエティーに富んでいます。

白いカラーは湿地性、カラフルなカラーは畑地性と覚えると簡単ですね。畑地性カラーのご紹介は、またいただいた折にいたします。

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