花材:スカビオサ・セロシア・ストック・ドラセナ・丸葉ルスカス・ピンポンマム・スプレーカーネーション
今週は「スカビオサ」に注目します。まっすぐに伸びる茎の先に紫色の花を咲かせます。花径は3~5㎝くらい。茎の細さに対して、花がやや大きいように感じます。花の真ん中は盛り上がっていて、その縁にフリルのように花びらが付き、ふわふわ感いっぱいの花です。
スカビオサは学名をScabiosa、別名をマツムシソウ(松虫草)と言い、スイカズラ科マツムシソウ(スカビオサ)属に属します(※マツムシソウ科で分類される場合もあります)。多くは紫や青などブルー系の花を咲かせますが、白・深紅・ピンク・黄などの花色もあり、毎年花を咲かせる多年草のものもありますが、一度花を咲かせて実を結ぶと枯れてしまう1年草や2年草のものもあります。
また、原産地はヨーロッパ・アジア・アフリカで、約80種類が分布しています。日本にも学名Scabiosa japonicaの1種が自生しており、タカネマツムシソウ(var. alpina)、ソナレマツムシソウ(f. littoralis)などの変種が存在します。これらは北海道から九州まで日本各地の日当たりの良い草原などに自生し、秋の高原を一面に彩る野草として親しまれています。
ただ多くの場合、花壇や切り花に利用され属名の「スカビオサ」で呼ばれるのは日本原産のマツムシソウではなく、花が盛り上がるように咲く1年草のセイヨウマツムシソウ(S. atropurpurea)や、大輪で花弁の広い優雅な花をつける多年草のコーカサスマツムシソウ(S. caucasica)など外国原産のものだそうです。中でもセイヨウマツムシソウは改良が進み園芸品種が多く、花色も花形も大変豊富にあるそうです。
ちなみに、「スカビオサ(Scabiosa)」は、ラテン語の「scabiea(スカビエス)=疥癬(かいせん)」が語源だそうです。疥癬とはヒゼンダニという極めて小さなダニがヒトの皮膚の角質に寄生することで起こり、強い痒みを生じ、人から人へと感染する皮膚病です。日本では貧困や戦争による栄養状態・衛生環境の悪化から昭和初期に大流行しました。このダニは有史以来、世界中で30年(一世代)の周期で流行を繰り返してきたと言われています。疥癬に対する効果の程は定かではありませんが、スカビオサの一種が皮膚病の薬草とされてきたことからこのような名前になったようです。
和名のマツムシソウは、松虫の鳴く頃に咲くのでこの名が付いたとも、花が散った後の形が僧侶の持つ「伏鉦(ふせがね)、俗称「松虫鉦(まつむしがね)」に似ているから付いたとも言われています。
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