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神経痛私考7(消炎鎮痛剤は治す薬ではない)

神経痛私考7(消炎鎮痛剤は治す薬ではない)

 

<消炎鎮痛剤(痛み止め)は治す薬ではない>

 整形外科では外科手術の対象となった時には素晴らしい手腕を発揮するが、その反面手術以外の治療はないに等しいと言っては言い過ぎになるかもしれないが、国際的に認められた治療法はほとんど持っていない。もちろん、痛いときに消炎鎮痛剤はあるが、もともと消炎鎮痛剤は治す薬ではなく、一時的に炎症の伴う痛みを炎症反応を止めて痛みを軽減させる薬で「治す」立場でいうとむしろ「治さない」薬といっても過言ではない。
 「炎症」という反応は、何か人体に悪影響を与えている反応と思っていて炎症を消す「消炎」=「体に良いこと」と勘違いしている人が非常に多い。薬の宣伝なども炎症は悪いものだから「炎症を消して(消炎)治しましょう」というようになっているので、炎症を消せば病気は治ると一般に思われている。

<炎症は人体に有益な反応である>

 人体に起こる反応のほとんどは人体にとって有益になっています。炎症反応も98%くらいは人体に有益な反応なのです(例外的に過剰なあるいは不適切な炎症もある)。
 というのは炎症は組織に障害が起きた時にそれを修復する目的で起きている反応で、腫れてくるのは白血球やリンパ球が血管から出てきて障害部位への感染を防いるためで、紅くなるのは血液(修復の補給部隊)が集まってくるからです。
 痛みが出るのは障害があるのでなるべく動かさないようにということと、ここが悪いということを知らしめるという意味もあるかと思います。痛みは警告反応と言われる所以です。

<炎症を消す(消炎)はむしろ病気を悪くしているかもしれない>

 このようにほとんどの炎症は障害部位を修復する反応ですから、消炎するということは障害を修復しない、すなわち治さないことになり、むしろ病気を悪くしている可能性すらあります。ただ、炎症も過度に起きている場合には炎症による二次被害も出るし、痛みがひどければ眠れない、食事もできないなどで体調を損ねて他の病気になりかねないということもあるのでそのような場合に適度に消炎鎮痛剤を使うのは正しい用法だと言えますが、我慢できる程度であれば消炎鎮痛剤を使わない方がむしろ早く治ります。
 あと、「今日はどうしても大事な用事があるので痛みを止めたい」というような時も消炎鎮痛剤の適応になります。
 しかし、炎症に伴う痛みを一時的に和らげるだけで障害を治すわけではなく、むしろ治す働きを止めるので、痛みがない分余計に動いて悪化させる恐れも十分考えられるのです。

 <牽引療法も神経ブロックも否定されている>

 消炎鎮痛剤以外では、前述した牽引療法も国際的には有効性は否定されてますし、神経ブロック療法も有効性は否定されてます。確かに神経を薬剤で麻痺させて痛みを感じさせなくするわけですから一時的に痛みはなくなります。しかし、痛みの原因を治したわけでは全くないので、薬剤が切れたら元に戻るどころか、かえってリバウンドで痛みが増強することさえあります。直後の痛みを止める効果はあっても「治す」という判定基準では無効を言うわけです。 続く

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