花材:蓮の実・ケイトウ・ヒマワリ・サンデリー・トルコキキョウ・レザーファン
週は「蓮の実」に注目します。シャワーヘッドのような姿の、面白い花材ですよね。
ハスと言えば、極楽浄土の花というイメージがありますね。仏教では、西方浄土の極楽は神聖な蓮の池と信じられているため、お寺に蓮池のあるところが多いようです。また、お釈迦様や仏様もハスの花の台座に乗っているものが多いですね。そのようなことから来るイメージではないでしょうか。
残念ながら今回はハスの花ではなく、花の真ん中部分(=花床)が花材です。花床には実の入るたくさんの穴があいていて、この姿が蜂の巣に似ていることから「蜂巣(ハチス)」と呼ばれ、これを略して「ハス」と名付けられたと言われています。
ハスは学名をNelumbo nuciferaといい、熱帯から温帯アジア、オーストラリア北部、北アメリカが原産のハス科ハス属(※スイレン科で分類される場合もあります)の多年草の水生植物です。
世界に自生するハスは、ピンクの花を咲かせるヌシフェラ種(N. nucifera)と、黄色の花を咲かせるルテア種(N. lutea)の2種類のみで、前者をハス、後者をキバナハスと呼んでいますが、その交雑によって作られた多くの園芸品種もハスと呼ばれています。
ハスは水底の土中に塊茎を作り、そこから葉と花茎を水面に伸ばします。塊茎はいわゆる“レンコン”です。シャクシャクして、とても味しいですよね。ただ、すべてのハスが食用になるわけではなく、系統によって食用・観賞用に分けられ、花を楽しむ系統では塊茎ができても、あまり太くならず食用には向かないそうです。
ハスは植物の中でも最も古い種の1つで、1億4千年前には地球上に存在したと言われています。1951年に千葉市の東大厚生農場(現、東大検見川総合運動場)で、ハスのタネが発掘されました。このタネは弥生時代の地層から出たので、おおよそ2000年も前のものと推定され、そのタネが古代ハスの研究者、東京大学農学部教授の大賀一郎博士によって発芽し開花したと、当時話題になりました。その後、そのハスから採れたタネが全国に広まり、大賀ハスとして今も栽培されているそうです。
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