花材:シャクヤク・キキョウ・京鹿子・キイチゴ・トルコキキョウ・ニューサイラン
今週は「シャクヤク」に注目します。シャクヤクは学名をPaeonia lactifloraといい、ボタン科ボタン属の多年草です。
属名のPaeonia(ペオニア)は、ギリシャ神の1人である医の神“Paeon(ペオニン)”に因んで名付けられました。神話では、ペオニンはオリンポス山から取ってきたシャクヤクの根によって、黄泉(よみ)の国王「プルートー」の傷を治したとされています。シャクヤクは死者の国の王の病を治すほどの万能薬とされ、古くは薬用として栽培されていました。
平安時代以前、日本にもはじめは薬草として伝えられました。室町時代に花が鑑賞の対象となり、江戸時代には園芸植物として確立して、多くの品種が生み出されました。ヨーロッパには18世紀前半に伝えられ、主にイギリスやフランスで品種改良が進みました。
日本で作られたシャクヤクを“和シャクヤク”、ヨーロッパで作られたシャクヤクを洋シャクヤクと呼び、前者は一重咲きや翁咲きなど、シンプルだけど花が大きくて花びらの重なりが厚くゴージャスなものが多いのに対し、後者は手まり咲きやバラ咲きなど、花弁の数は多いけど花自体はやや小振り、花色が豊富で香りが強いものが多いのが特徴です。
昔から“立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花”と、女性を褒め称える言いまわしがありますね。シャクヤクとボタンは同属の植物でよく似ていますが、ボタンは木本性で冬には枝が残ります。それに対してシャクヤクは草本性で、冬は地上部が枯れて地中の根や芽で冬を越します。
開花時期も少しずれていて、ボタンは4月下旬から5月上旬に咲き、シャクヤクはそれを引き継ぐように5月上旬から中旬にかけて花を咲かせます。
近年ではこの2つ、シャクヤクとボタンを交配した“ハイブリッドシャクヤク”が注目されているそうです。花持ちが良くて、普通のシャクヤクにはない黄色など、色んな花色が楽しめるのが魅力なのだとか。このように、シャクヤクは品種が多く、様々な色と形の変化が鑑賞できます。
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