かつてまだ抗生物質もなく、おおよそ7人に1人が結核で亡くなっていた昭和の時代に、お灸博士と呼ばれた原志免太郎医師は灸で結核の治療を行い、その有効性を実証してみせました。先生はご自身にも灸をされていて、108歳という当時の男性長寿日本一になったことでも有名です。
今また、アフリカ・アジアを中心に新たな結核の感染者数および死者数の増加が問題になっており、さらに当該国ではエイズとの重複感染や薬剤耐性結核がみられ、より状況が複雑化しています。そこで、2008年にイギリスでチャリティ団体「モクサアフリカ」が発足し、結核治療に灸を利用する活動を始めました。この時の灸は日本式の透熱灸※が用いられています。灸は結核治療の一助となっており、さらに彼らは2016年、長年のRCTによる臨床研究の結果、結核とHIV患者の灸の効能として、免疫力(CD4)の向上を証明することに成功しています。
※ 透熱灸 : モグサを糸状~米粒ほどの大きさの円錐形にし、直接皮膚上で燃焼させる施灸法。直接灸ということもある。
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