花材:フウセントウワタ・レッドダッチェス・トルコキキョウ・ピンポンマム・ドラセナ
収穫の秋、今週も実物をいただきました。フウセントウワタ(風船唐綿)です。ガガイモ科フウセントウワタ属、別名をフウセンダマノキ(風船玉の木)と言います。
うす緑色をして、名前の通り風船のように大きく膨らんだ実です。実の表面には棘(とげ)がいっぱい出ていて怒ったハリセンボンのようですが、フウセントウワタの棘はハリセンボンの針やサボテンの棘とは違って柔らかく、決して刺さるようなものではありません。なので、棘というよりは毛、それもとびきり剛毛な毛と言った方が正しいかもしれません。
フウセントウワタは南アフリカ原産の多年草です。花の時期は初夏。反り返った花弁をもつ乳白色の小さな花が垂れ下がり気味に下向きにたくさん咲きます。
この花の形もちょっとユニークなのですが、やっぱり毛の生えた袋状の実のインパクトにはかなわないようで、一見するとグロテスクな実の方が観賞用にはだんぜん人気なのだとか。ドライフラワーにもなって、色んなアレンジメントに使いやすいようです。実が成熟すると乾燥し薄茶色になり、自然に縦に裂けます。すると中から白い絹糸のような毛の付いたタネが出てきて飛散するそうです。
また、フウセントウワタの茎に傷をつけると白い樹液が出てきます。この樹液には強い角膜毒性があり、目に入ると角膜が真っ白に濁ってかすんで見にくくなり(角膜浮腫を起こしている)、結膜充血も起こして痛みを生じるそうです。通常、ステロイド剤の点眼を1週間くらい使用すれば回復し、後遺症を残すことなく治るそうですが、フウセントウワタを扱う時には注意が必要なようです。
花材でいただくような枝をハサミで切ったからといって、樹液が飛んで目に入るような事はありませんが、素手で作業をしていて樹液が手に付き、その手でまぶたに触れることで目に入ってしまうことが多いのだそうです。ですから、防護メガネのような大げさなものは必要ないですが、作業の際には手袋をするとか、終わった後には手をしっかり洗うとか、毒があることを意識に入れつつ作業にあたるべきですね。
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