花材:グロリオサ・スプレーマム・レザーファン・ストック・モカラ・ドラセナ
今週は晩秋に似合う、紫を基調とした落ち着いた色の花合わせです。
その中でアクセントになっているのが、赤と黄色のツートンカラーの花弁が反り返って花火が開いたような形をした「グロリオサ」。この花があるとエキゾチックな雰囲気を持ちますね。
グロリオサはアフリカ・熱帯アジアに分布するユリ(イヌサフラン)科グロリオサ属に属する球根植物で、葉の先端には細い巻きヒゲがあって、これで周囲のものにつかまりながら蔓を伸ばして育つ半蔓性の多年草だそうです。ヒゲがクルンと巻いた葉っぱは可愛らしくもあるのですが、生けているとすぐあちこちに巻き付いて、扱いにくいんですよね~。
花の呼び名にもなっている属名のグロリオサは、ラテン語の「gloriosus(見事な、輝かしい、栄光の)」が語源で、英語の「Glory(グローリー)」とほぼ同じ意味だそうです。そこから、英語では「Glory Lily(栄光のユリ)」と呼ばれることもあるそうですし、赤い花弁が波打って燃え上がる炎が揺らめいているように見えることから「Flame Lily(炎のユリ)」とか、蔓が巻きつきながら上に伸びるので「Climbing lily(登るユリ)」などと呼ばれることもあるそうです。和名は百合車(ユリグルマ)とか蔓百合(ツルユリ)、花姿をキツネに見立てて狐百合(キツネユリ)というのだそうですが・・・、どれも聞いたことがありませんねぇ。
今回いただいたグロリオサが一番ポピュラーな花色だと思いますが、そのほかにも黄色・赤紫・ピンク・白など単色のものや、オレンジ赤に黄色の縁取りや、黄色から先端が朱赤色にグラデーションする複色の品種もあるそうです。
そんなきれいなグロリオサですが、実は毒草なのだとか。全草にアルカロイド系の毒であるコルヒチンを含有しており、特に球根部分には多いそうです。コルヒチンは、人を死に至らしめることのできる程の強い毒性を持っているのですが、実は古くから痛風の特効薬として知られていて、痛風発作が起きそうな時、前もってコルヒチンを飲んでおくと発作を防ぐことができる効果の高い薬でもあるのです。ですが、これを多量に摂取した場合、口腔・咽頭灼熱感、発熱、嘔吐、下痢、背部疼痛などが起こり、臓器の機能不全などから死に至るケースもあります。ですからグロリオサを栽培・鑑賞するのは問題ないですが、食用にすると中毒を起こし危険です。食べることなんて無い!と思われるでしょうが、グロリオサの球根は山芋や長芋に似ているため、掘り出して間違って食べるということがたまにあり、実際死亡事故が起きています。
上が山芋で、下がグロリオサの球根です。・・・確かに似ていますよね。
発生事例を見てみると、自宅で栽培していて掘り起こした際に山芋と間違えて食べてしまった事故が多いようです。グロリオサの球根には山芋・長芋のようなヒゲも粘りもないので、よく確認すればわかるはずですが、台所にコロンと置いてあったら、深く考えずにすりおろして食べてしまうかもしれませんね。ご注意を!
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