花材:テッセン・カラー・タニワタリ・ドラセナ・トルコキキョウ・オンシジューム
今週は「テッセン」をいただきました。下あるいは横向きに咲いている紫のお花です。
花材表にはテッセンとあったのですが、調べてみますと、中国原産の6枚の乳白色の花弁を持ち、雄しべが花弁化している花で、学名をClematis florida sieboldiiというクレマチスの原種のひとつをテッセンと呼ぶとありました。
いただいた花は、明らかにここで言うテッセンとは姿が違います。どうやら日本では一般的にクレマチス全般をテッセンと呼んでしまっているようなのですが、正式には属名のクレマチスと呼ぶのが正しいそうなので、以降はクレマチスとさせていただきます。
クレマチスは学名をClematisと言い、キンポウゲ科クレマチス属に属します。クレマチス(Clematis)の名は、ギリシャ語で巻きひげ・蔓(つる)を意味する「クレマ(Klema)」に由来してつけられたそうです。その名の通り、蔓性(一部木立ち性)の植物ですが、クレマチスはアサガオのように蔓自体を何かに絡ませて伸びていくわけではなく、蔓から伸びた葉柄(ヨウヘイ)や葉柄から更に分岐した小葉柄が何かに巻きついて安定を保ち、蔓を伸ばしていきます。この絡みながら成長する性質も、クレマチスの魅力のひとつです。
クレマチスは、世界にたくさんの野生種、原種があって、250種~300種が分布しています。主に北半球の温帯地域に分布していますが、特にヒマラヤから中国、朝鮮半島、日本に多く分布し、この地域だけで100種類以上の原種があると言われています。日本にはカザグルマをはじめ、ハンショウヅル、高野ハンショウヅル、白ハンショウヅル、タカネハンショウヅル、ミヤマハンショウヅル、クサボタン、ボタンヅル、白花ハンショウヅル、センニンソウなど、25種が自生しているそうです。
このようにクレマチスには様々な野生種、原種があり、それらは性質の異なるいくつかの系統に分類されています。今回杏林堂にいただいたクレマチスは、すらっと伸びて絡みつかず、下や横向きに咲くのが特徴のインテグリフォリア系ではないかと思います。また、それらを交配することによって、数え切れないほどの園芸品種が生まれています。花の形・色・大きさ、開花時期、葉の形など品種によって実に様々で、さらに落葉する品種、常緑の品種もあれば、1年に1回だけ開花する一季咲きの品種や、長期間に亘って花が次々と咲く品種、剪定すると繰り返し咲く四季咲きの品種もあります。このように特性が多様なため、一年を通していつもいずれかの品種のクレマチスが咲いているなんてお庭も作れそうです。
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