花材:リンドウ・ポンポンマム・デンファレ・スプレーカーネーション・キキョウラン・サンデリー・レザーファン
前々回の花材でもいただきましたが、今週もこの間のとは色の違うリンドウをいただきました。
リンドウが花屋に並びだすと、秋だなぁ~と思います。リンドウは本州~奄美諸島の山野に自生する植物で、近縁種も含めるとほぼ日本全域に分布しているそうです。この時期、野山を歩くとリンドウが咲いているのを見かけることがあります。以前にご紹介したノゲイトウもそうですが、ふだん気にしていないから気付かないだけで、自生している花って結構ありますね。
リンドウは、日本以外にもシベリア・中国・朝鮮半島に分布していて、種類はなんと約400種類もあるそうです。厳密にいうと学名「Gentiana scabra var. buergeri」と呼ばれる種のみがリンドウなのですが、一般的には近縁種や変種・亜変種も含めて「リンドウ」「リンドウ類」と呼んでいるようです。日本にはこのうち約18種と8変種が自生しているそうですが、切り花向きや鉢植え向きに改良された品種もあるので、実際にはもっとたくさんの種類が見られるようです。
少し鍼灸院らしいお話をすると、リンドウの根は竜胆(りゅうたん)と呼ばれる生薬のひとつで、昔から世界各国で薬草として重用されてきました。ヨーロッパでは古くから主に健胃を目的として使われてきました。漢方薬としては従来消炎剤として用いていたようですが、日本に西洋医学が入り西洋薬を使うようになってからは、日本でも健胃薬として用いられるようになりました。
竜胆は非常に苦味が強いことで知られています。突然ですが、嘔吐した時、吐くものがなくなると最後には黄色い液体が出てきます。そんな経験はありますか? あの液体は胆汁なのですが、苦いですよね~。人間の胆汁でも十分苦いのに、竜胆は人間のそれより苦いであろう熊の胆のうを乾燥させた“熊の胆(クマノイ)”よりも更に上をいく苦さなので“竜の胆”という名前が付いたそうです。
同じく胃弱に良いとされるものにセンブリがあります。漢方薬には用いられませんが、ドクダミやゲンノショウコと同じく日本独自の生薬で、昔から民間薬として使われてきましたからご存知の方も多いと思います。センブリを煮出したセンブリ茶は、千回振り出してもまだ苦いと言われるほど苦いですが、これもリンドウ科なんですよ。
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