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メニエール病私考-1(本当のメニエール病は非常に少ない)

メニエール病私考-1(本当のメニエール病は非常に少ない)

<メニエール症候群という病気はない>
 「めまい」を主訴として来院する患者さんは非常に多く、その大半は病院で「メニエールと診断された」、とおっしゃいます。よく聞いてみるとメニエール症候群といわれたということですが、「メニエール症候群」という医学病名はありません。
 いうなれば、メニエール病に似た症状だけれども、メニエール病ではなさそうなのでメニエール症候群と名付けたということのようです。
 メニエール病は、未だに発見者の名前が付いているくらいですから、まだその本体の詳細は不明ということです。メニエール病は、内耳の蝸牛(聴感覚器)、前庭(平衡感覚器)を囲んでいるリンパ液の圧力変化によるものと考えられていて、診断は除外方法(他の疾患の可能性を全部否定して)によるもので、確定的な診断方法はありません。

<メニエール病はかなり稀な病気>
 メニエール病は人口10万人に対して3~4人程度発症する、かなり稀な病気です。私自身も数万人の患者さんを診てますが、本当のメニエール病は一人しか見たことはありません。
 メニエール病の特徴は、 ① めまいが激しい ② 自発的に発症(動作その他で誘発されない) ③ 突発性に起こる ④ 反復してめまいがおこる ⑤ 蝸牛症状、すなわち難聴、耳鳴り、耳閉塞感等が随伴する ⑥ 聴力障害は発作時には低音部に強い(通常の聴覚障害は高音部が強い) ⑦ 内耳疾患特有の補充現象がある(強い音に敏感になって、ビンビン響く)などがあり、積極的な診断法としてはカロリックテストやグリセロールテストがありますが決め手はありません。

<メニエール症候群とむち打ち症の後遺症>
 むち打ち症(後遺症)の本体は、交通事故や転倒などの衝撃後に頸部の深部筋の緊張が取れなくて、それによって頸部の凝りや痛みがあるとともに、深部筋の緊張で頸部の交感神経を刺激して交感神経の過緊張を起こします。この頸部の交感神経は脳や耳などの頭蓋内の組織を巡っている血管の運動を主ってますので、交感神経の過緊張を起こすと頭蓋内の血管が縮小して脳や耳などの組織への血流が滞ってうまく働らなくなります。その結果、根が続かなかったり、イライラしたり、眩暈や吐き気がしたりします。これがむち打ち症の後遺症でバレーリュウ症候群とも言います。
 実は、このむち打ち症の後遺症がメニエール症候群といわれることが多いのです。むち打ち症は、交通事故だけでなく、転倒して頭を打たなくても、頚が急激に振れるためにおきますし、後ろからどんと押されてもやはり同様なことが起きますので、交通事故の既往がなくても起きます。
 そしてこの病気は、頸椎などの骨等に異常はなく、レントゲンはもちろん、MRIやCTでも異常は発見できません。筋肉や靭帯などの軟部組織は映らないからです。よって診断はメニエール病と一緒で症状から類推して除外診断して付けられますので症状によってはメニエール症候群という診断名になってしまうことが多いのです。つづく

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