執筆

会頭講演6:西洋医学のパラダイム

しばらく、会頭講演から若干逸脱しました。会頭講演に戻ります。

 西洋医学との対比の中で、本質療法の如何を論じるのであれば西洋医学のパラダイム(考え方の規範となる枠組み)を考察しなければならない。

 

<会頭講演より>・・・・

Ⅱ、西洋医学のパラダイム

 「治す」を考察するのであればそのパラダイムを考察しなければならない。西洋医学のパラダイムは「デカルト科学(要素還元主義)」「病因論」「アロパチー」である。

1、科学的とは

 西洋医学は科学的で東洋医学は非科学或いは似非科学と考える人は学者間にもいる。では「科学」とは何か、「科学的」というのはどういうことなのか。一般的に数式・数字、化学式で表わすことや、例えばトマトの効果ではなくトマトの成分であるリコピンの効果というように自然物ではなく、その成分を分析することが科学と考える人が多い。また、鍼のような機械的刺激や灸のような熱刺激は科学的でなく薬のような化学物質の方が科学的に考える人たちが多いように思える。

会頭講演はここまで・・・・

 

<フードファディズム>

一時、フードファディズムという言葉が提唱されました。トマトが良いとTVで言えば、トマトがなくなり、納豆が良いと言えば納豆が店頭から消える。そして、〇〇がだめだというと、それを食べている人は「バカ」扱いされる風潮を批判しての言葉であります。

そして、なぜトマトが良いのかを、科学的に分析していくと「リコピン」という化学物質が見つかるとトマトが良いというよりリコピンをとるのが良い、というように転換され、サプリメントが生まれるという具合であります。

 そして、それが化学式で表されるとますます科学的に見えて科学の勝利みたいな感覚になる。トマトが良いというと科学的に思えないが、その成分が化学式で表され、その効果が証明されると非常に科学的に思えるというわけであります。

 しかし、疫学的な調査からは一成分の物質よりも全体で摂った方が健康に良いことがわかっています(確固としたエビデンスがある)。すなわち、トマトで言えばリコピンをとるよりもトマトを食べたほうがより健康に良いということであります。

 そして、トマトだけでなく、緑黄色野菜全般、さらにさまざまな野菜を、さらには魚や肉、乳製品、豆類、穀類など広範に摂った方が健康に良いというきちんとしたエビデンスがあるので、一時一日30品目を摂りなさい。というように言われるようになったのであります(現在は30品目というと、28品目じゃダメというように考える人が出るので30品目はやめにして、広範にいろいろ食べると良い、というように変わってきたが考え方は同じです)。

 だから、結果論でありますが、リコピンという成分を見つけて同定してみたところで、実際の健康にはあまり役に立っていないのであります。今まで通り、トマトのままで、そしてなるべく多くの野菜を食べたほうが良いということには何ら変わりがないのです。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。