花材:スイートピー・ダイアンサス・アンスリウム・リューカデンドロン・ドラセナ・レザーファン
今週はピンクのスイートピーをいただきました。スイートピーというと一番に聖子ちゃんを連想してしまう、私はそんな年代でございます。 ♪は~るい~ろの汽車にのぉ~って~♪・・・と考えていったら、あの歌に出てくるスイートピーはピンクではなく赤でしたね。
スイートピーは学名をLathyrus odoratusと言い、マメ科レンリソウ属(ラティルス属)に属する蔓性植物です。スイートピーという呼び名は英名で、「sweet(甘い・香りの良い)」+「pea(エンドウ豆)」で“香りの良いエンドウ豆”という意味です。ほとんど使われることのない和名でも「香豌豆(カオリエンドウ)」、「麝香連理草(ジャコウレンリソウ)」、「麝香豌豆(ジャコウエンドウ)」などといった“香り”と“エンドウ豆”を組み合わせた名前が付いており、古くから芳香の強い花として知られてきました。ヒラヒラした蝶のような花姿から豆を連想することは難しいですが、花が終わると絹さや(さやえんどう)によく似た豆果ができ、しっかりとマメ科の植物であることを証明してくれます。ただし、スイートピーの豆果は毒があり食べられませんのでご注意を! 煮ても焼いても、その毒性は無くなりません。良いのは花の姿と香りだけ、残念ですね~。
そんなスイートピーの歴史は、1699年にカトリックの僧で植物研究家のフランシス・クパニ神父によってイタリアのシシリー島に自生していたスイートピーの野生種(原種)が発見されたことに始まります。その後イギリス、オランダなどヨーロッパを中心に品種改良が進み、多種多様な園芸品種が生まれました。日本へいつどのような経緯で入ってきたかは不明ですが、19世紀中頃に描かれたスイートピーの写生図が残っているそうなので、それより前に入ってきていたことは確かのようです。
日本でスイートピーを栽培するようになったのは大正時代からで、横須賀がはじめだそうです。日本でも新しい花色を生み出したり、1つの茎に付く花の数を増やしたりなど、様々な品種改良が繰り返されました。かつて聖子ちゃんは“赤い”スイートピーと歌っていましたが、当時のスイートピーは赤と言っても黒っぽい濃い赤しかなく、鮮やかな赤いスイートピーが誕生したのは曲が売れた後、三重県の農家の方が18年の歳月をかけた品種改良の末の成功だったそうです。今では、日本の改良技術は本家ヨーロッパを凌ぐほどなのだとか。
このように各国で品種改良が進み、花色のバリエーションが非常に豊富になったスイートピー、野生種(原種)の花色は紫色と濃い赤紫色のグラデーションだったものが、今では赤・ピンク・紫・ブルー・白などがあり、単色あるいは複色種のものもあります。ですが、これほど多くの色が生み出されたのに、日本の技術をもってしても黄色系の品種は作り出すのが難しいらしく、黄色のスイートピーはありません。あれっ?でも黄色いスイートピーを見たことあるぞ?と疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。あれは染色液を吸わせてカラーリングした染めスイートピーというものだそうです。染める技術もどんどん進化していて、黄色以外にも鮮やかなオレンジとか真っ赤、真っ青があるかと思えば、ミントアイスのような色や金属を思わせるような青銅色もあります。天然の花色ではありませんが、色んな色がビックリするほど揃っていますよ。
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