花材:デルフィニューム・ナデシコ・サンデリー・スプレーマム・トルコキキョウ・レザーファン
随分と背の高いお花をいただきました。薄紫のデルフィニュームです。キンポウゲ科デルフィニューム属(オオヒエンソウ属)に属し、カトレアやシンビジウムなどと同じ洋ランの仲間だそうです。
デルフィニュームは長い茎の先に穂状に多数の花を咲かせ、他の草花には少ないブルー系の花が美しいのが特長です。穂状にたくさんの花を咲かすわりに、ひとつひとつの花も大きくて目立ちます。ただ、その花のように見える薄紫の部分は実は萼(ガク)で、萼の真ん中に集まってついている白い小さな花弁が本当の花だそうです。
デルフィニュームという名前は、蕾の形がイルカに似ていることから、ギリシャ語でイルカを意味する「delphin(デルフィン)」が由来になったと言われています。これに対して和名では、花の形が空を飛ぶ燕(ツバメ)に似ていることから「オオヒエンソウ(大飛燕草)」とか、別名「ヒエンソウ(飛燕草)」と名付けられています。
デルフィニュームの原産地は、ヨーロッパ・アジア・北アメリカ・アフリカの山岳地帯で、およそ200種類が分布します。野生種は冷涼とした雪解け水が流れ込む高地の草原湿地に自生します。この原産地からもわかるように、本来デルフィニュームは耐寒性があり、生育に適さない時期(多くの場合、冬)に地上部分が枯れてしまっても、それが過ぎると発芽して再び生育を始める宿根草(多年草)なのですが、日本で育てた場合には、高温多湿の夏を乗り切ることができずに枯れてしまうことが多いので、園芸的には秋まき一年草として扱うのが一般的だそうです。
以前は、切花として出回っているだけでしたが、イングリッシュガーデンがポピュラーになり、背が高くて豪華な花のデルフィニュームはボーダーガーデンの主役としてよく使われるようになったため、苗も流通するようになりました。そんな園芸での人気の高まりから品種改良も進み、花色はブルーのほか、赤・紫・白・ピンク・黄などがあり、特にブルー系は青紫や紫など濃い色から淡い青や薄紫まで豊富な花色が揃っています。また、一重咲き、半八重・八重咲きのものがあり、草丈も2mになる高性種から30㎝ほど矮性種があり、近年は寄せ植えなどにも適する枝分かれしやすい矮性種が人気だそうです。デルフィニュームには非常に多くの園芸品種がありますが、いずれの品種も西洋風の庭によく似合いそうです。
コメント